立ち上がるたびに目の前がクラッとしたり、頭がぼーっとしたりする経験はありませんか。部屋の明かりのスイッチを入れたのに、電力が弱くて電球がチカチカ点滅するように、ぐったりとして力が入らない感覚を覚えることもあります。『東医宝鑑』では、こうした症状を体にとって最も根本的なエネルギー源である「気」と「血」が不足したときに現れるサインと捉えました。
私たちの体は、丁寧にお手入れされた庭のようなものです。「気」はこの庭を活気づける温かい日差しであり、生命力あふれる風のようなもの。「血」は庭の植物に栄養を行き渡らせる豊かな土壌と清らかな水のようなものです。日差しと水が十分であってこそ庭の緑がいきいきと茂るように、私たちの体も気血が満ちていてこそ力が出めまいも起こりません。
特に低血圧のように突然めまいがして力が抜ける症状は、韓医学では「気虚」と「血虚」が同時に現れている場合が多いと考えます。気が虚すということは、体のエネルギーを作り出して巡らせる力が弱まったことを意味します。まるで発電所の発電量が落ちて、都市全体で電気が不足するような状態です。こうなると気力が湧かず疲れやすくなり、ひいては臓器の機能まで弱まることがあります。血液を上へと押し上げる力、つまり「気を持ち上げる力」も弱まるため、立ち上がる際に重力に逆らって血液を頭まで送り届けることが負担になります。そのため、クラッとするめまいが生じるのです。
そして血が虚すということは、体内の血液そのものが量的に不足しているか、血液の質が十分でないために本来の役割を果たせていないことを意味します。血が十分に巡ってこそ全身の隅々に酸素と栄養素を届けることができますが、血が不足するとこの循環が滞り、細胞が飢餓状態に陥ります。特に脳は非常に繊細な臓器であるため、血液供給がわずかでも途絶えると、すぐさまめまいや目の前が真っ暗になる症状としてSOSを出すのです。
現代人は過度なストレス、不規則な食生活、睡眠不足などにより、知らず知らずのうちに気血を消耗しているケースがとても多く見られます。度重なる残業や夜更かし、極端な食事制限などは、体の発電所の燃料を激しく浪費しているようなものです。『東医宝鑑』は、このように「虚損」した状態、すなわち体の気力と血液が損なわれた状態に警鐘を鳴らし、崩れたバランスを取り戻すことが何より重要であると説いています。単にめまいの症状を一時的に抑える薬を飲むだけで解決する問題ではなく、体全体のエネルギーシステムを健やかに立て直す必要があるという意味です。体を温め、しっかり休み、良質な食事を摂りながらこの貴重な気血を補うことこそ、低血圧を根本から整える『東医宝鑑』の知恵です。